【映画レビュー】Luckiest Girl Alive / 私は世界一幸運よ (2022):アーサーの発言に注目。

1. Story/ お話

ニューヨークの出版社で働くアーニー(本名ティファニー)。
彼女は学生時代に集団レイプの被害者となり、
銃乱射事件を生き延びたという暗い過去を持つ。
事件のドキュメンタリーに出演したことをきっかけに、
過去と向き合い、自叙伝を出版。
そして自分自身を取り戻す。

本が原作。


2. Review/ 感想

アーサーの発言。

アーニーがアーサーを刺すシーンにはびっくりだった。
アーニーは殺害することで加害者に復讐を望んでいなかったのに、
自分を加担させようとしたアーサーに怒りを感じたのか、
次は自分かも、という恐怖心か。

気になったシーンは、
アーサーがアーニーに対して「胸を隠すべきだった」と発言したこと。
ここは重要ポイントだった。
被害者の格好に落ち度はない
露出の多い格好をしている人に何してもいい訳が無い。
加害者が100%悪い。
これはドラマ「シーズガッタハヴイット」や
映画「モキシー」でも取り上げられていた。
被害者の格好は犯罪をしていい理由にならない。
アーサーはこれを分かっておらず、
アーニーを余計傷つけてしまったと思う。

最後に登場した女性。

最後にアーニーとすれ違った他出版社の女性。
銃による暴力被害者として銃規制を訴えていたディーンが
レイピストであることが世間に知れ渡ったことで
彼を記事にしていた自分が被害を被ったと主張。
これも重要だったと思う。
同じ女性であり、チームなのに、相手を嘘つき呼ばわりする。
時たま女性は同性に対しとても厳しく、足をひっぱり合う
仲間が協力しないと。

性暴力被害者の伊藤詩織さんに対して
中傷した女性の議員がいたことが思い起こされた。

似ていた作品など。

ドラマ「13 Reasons Why(以下13RW)」と似ていたと思う。

両作品に共通することは、
レイプ犯は金持ちの息子ディーンらと13RWはブライス。
親に金とパワーがあり、学校側はその子供に対して処罰ができない。
被害者はワーキングクラスの転校生の女の子。
アーニーと13RWではハンナ。
転校したてで、新しい学校で”クールキッズ”の輪に入りたいという
冒険心に漬け込まれてしまう。

そして、銃乱射事件を起こしたベン。
ベンも同じく”クールキッズ”の輪に入りたいという
冒険心に漬け込まれてしまい、
尊厳を踏み躙るような嫌がらせを受けた。
13RWでもタイラーという青年が
男子生徒から酷い身体的暴行を受けた復讐として、
銃を学校に持ち込むが、友人らに止められ、未遂で終わった。
2人とも色白で細身で、友達も多くないキャラクター。

もう一つ、アーニーの本名が高級ブランド「ティファニー」と
同じだからか思い起こさせたのが、
アメリカ人のシャネルミラーさん
彼女も性暴力の被害者。
事件が公になり、加害者の名前や写真は大きく報道されたが、
彼女の情報は非公開だった。
しかし「Know My Name: A Memoir」という自叙伝を出し、
自身の顔、名前を公表した。
アーニーが自叙伝を出したことも同じ。
彼女には誰よりも幸運が訪れて欲しいと思っている。

Know My Name: A Memoir KNOW MY NAME [ Chanel Miller ]

邦題がシワシワ。

なぜ「よ」を付けたんだろう、古臭い気がする。
私の提案は「世界一幸運な私」。
意味は変わらず、ほぼ同じじゃない?

「できる女性」は出版社勤務だけ?

原作は本で、時代設定はトランプが当選したアメリカの大統領選の前年の2015年。
仕事のできる女性=出版社勤め」の設定が不満。
また出版社?
映画「13ラブ30 (2004)」を始め、約20年間ずっと変わらないこのできる女のイメージ。
華やかだし、ニューヨークタイムズなんて超かっこいけれど、
そろそろ他の職業にスポットライトを当てること希望。

内容が性暴力であるだけに、苦しく暗い映画だけれど、
この世の中に必要な映画。
おすすめ。

3. Recommendations/ おすすめ

  1. ドキュメンタリー「オードリーアンドデイジー」(2016)
  2. 映画「プロミシングヤングウーマン」(2020)
  3. 映画「モキシー」(2021)

4. Date/ 観賞日

2022年10月 Netflixにて

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA