【Docレビュー】Minding the Gap / 行き止まりの世界に生まれて (2018):リアルな黒人の生きづらさを垣間見た。

1. Story/ お話

イリノイ州ロックフォード(シカゴより北)で育った3人の青年の
12年間に渡るドキュメンタリー。
白人のザック、黒人のキアー、アジア人で本作品の監督ビン。
3人は共通の趣味スケートボードで繋がっていることと、
家庭内暴力のある家庭で育ったこと。
映画内の紹介の通り、ロックフォードは暴力事件が多く、
その内4分の1は家庭内暴力。
労働者の時給も低く、仕事がない貧しい街。

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2. Review/ 感想

多くのテーマが含まれた深いドキュメンタリーだった。
家庭内暴力、躾という名の虐待、貧困、失業、無学、人種問題、アイデンティティ。

一番印象に残ったのは、黒人であるキアーの前で人種差別発言のシーン

1つはザックたち白人の仲間3人が差別用語「Nワード」を使った動画を見て
大爆笑していたシーン。
黒人のキアーは気まずそうな表情でその輪に入らず、
3人の笑いが終わるのを耐えて待っていたように感じた。
Docの始まりで、ザックが「何があってもキアーを守る!」的な発言をしていたから、
2人は大の仲良しの印象がついたけれど、
このシーンではキアーの気持ちを考えず、
興味の惹かれるところに着いていってしまうザックにはがっかりだった。
キアーも大事な友達だから怒れないのかな、と考えると、
なるほど、これが異人種間での生きづらさなのかな、、と思ったり。

もう一つは、2人の白人の友人と1人の黒人の友人とキアーのシーン。
1人の白人が「クラスで自分だけ白人だった時はやばいと思った。
怒りの対象になる、逆差別されると思った。
白人の貧困層(トレイラートラッシュホワイト*)だって苦労している。」と。
*差別用語なので注意。

(参照ウィキペディア:https://en.wikipedia.org/wiki/Trailer_trash )

この白人の青年の主張から彼は「白人であることの特権/ White Priviledge 」を
理解していないことがわかり、
「Black Lives Matter」でなはく、「All Lives Matter」を主張している人って
こういう人なんだってわかった。
そして、仲のいい仲間内でこんな重い会話が簡単に起こるんだ、と驚いた。

キアーの父親は暴力を振るう人だっただから善人とは呼べないけれど、
キアーが感じているように、黒人であるアイデンティティを誇れるように
育ててくれた父親だったのはわかった。
「白人の友人といても、自分が黒人であることを忘れるな。」
黒人父子の話、映画「ウェイブス」を思い出した。

「教育、学力こそが貧困から抜け出すことができる方法。」
大人になる現実と向き合い、高卒資格(GED)を取ろうとする青年たちを見て
この言葉を思い出した。

彼らがスケートボードしている姿は純粋で楽しそうだった。
少しでも現実逃避できる、夢中になれる逃げ場があることは貴重だと思う。
生きがいを片手に、希望と厳しい社会とのギャップを越えて生き抜いて行ってほしい。

制作期間12年、人には話したくない話を取り上げた深いドキュメンタリー。

おすすめ。原題も良い!

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3. Recommendation/ おすすめ

黒人父子の話。父は息子に成功してほしいと願うばかりに強いプレッシャーを与え続けた結果、

息子は耐えられず事件に巻き込まれて投獄されてしまう。

キアーの父親も同じ思いだったのかな、と思ったのでおすすめ。

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4. Date/ 観賞日

2022年5月14日 アマゾンプライムにて

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