【映画レビュー】The Last Shift / ラストシフト (2020):白人特権について学ぶ。

1. Story/ お話

舞台はアメリカミシガン州アルビオン。
スタンリーがファストフード店を退職することになり、
代わりに入ったシェボン。
全てが対照的な2人のやりとりを通して、
人種問題を交えながら貧困層の人生を描いたストーリー。

スタンリー
白人男性。推定60-70歳くらい。
高校中退の低学歴、無学。
38年間、ファストフード店の夜勤勤務。
賃金$13.50の低収入。

シェボン
黒人男性。推定20歳くらい。
賢いが逮捕歴あり。
未婚、子供あり。

2. Review/ 感想

2人ともが不憫な話だった。

メインは白人特権(White privilege)について分かりやすく
説明していたストーリーだったと思う。

スタンリーは白人特権を信じていない。
自分はやりたい仕事をしているわけではないし、
自身の生活は決して楽とは言えないから。

スタンリーが学生時代、学校で黒人の生徒に対して白人の生徒による暴行事件があった。
これに対し、スタンリーは殴った白人生徒を憐れむ発言をし、
殴られた黒人生徒に対しては、彼が口を慎めば良かった、と
黒人であるシェボンを目の前にして、黒人の被害者を非難した。

こういう考えを持つ人が、「Black lives matter」を非難し、
「All lives matter」って言い出すんだろうな。

その後物語が進み、
スタンリーは携帯していた全財産の現金を黒人の若者らに取られてしまう。
(アメリカでは現金を持ち歩いてはダメって、私でも知っているのに!)
それを無関係のシェボンが「黒人の仲間」である彼らに情報を与えた、と
スタンリーは疑い、シェボンへ八つ当たりしたシーン。

同じ黒人だからってシェボンのせいにするなんて、
大人気ない、と絶句だったけれど、
これが潜在的に存在する人種差別なのかも、と思った。
2人は仲良く仕事をするようになっていたけれど、
心の底ではスタンリーはシェボンを信用していなかったのか。

その後、スタンリーは店のお金を盗んでも、
疑いをかけっられることなく、
黒人の店長ですら、シェボンが取ったと信じた。
シェボンは黒人で、元受刑者だから。
ここでようやくスタンリーはシェボンの言う「白人特権」を
身にしみて理解したのだろう。

シェボンはウィットに富んだ賢い青年なのに、
逮捕歴がついていて、この肩書きが一生ついて回ると思うと、
彼の才能に見合ったチャンスを得られないのでは、と可哀想に思った。
彼は若いし、ライター志望なら今時SNSで頑張れるか・・・?

さて物語の最後、スタンリーはフロリダへたどり着くことが出来ず、
故郷アルビオンに帰ってくる。
一文なしのため、働かなくてはいけない。
当然、元の職場には当然戻ることができず、
別のレストランで皿洗いの仕事。きっと低賃金。
自業自得だけれど、不憫で心が痛んだ。

「高校はなんとなく中退した」って言っていたけれど、
卒業リングも買い、今も大切にしているのに、何があったのかな。
大切なお母さんに何かあったのかな。

人種問題、貧困、と暗い話だけれど、
見応えのある映画だったと思う。

ペプシはPPL(プロダクトリプレイスメント)かな!?美味しそうだったー。

3. Recommendation/ おすすめ

  • 【映画】Waves/ ウェイブス (2019)

黒人の父が息子に成功してほしいがために
厳しく育てたが、息子はそのプレッシャーに耐えられず、
道を外し、刑務所生活を送ることに。
黒人は一度刑務所に入ると再起を図るのがいかに難しいか、
やるせない映画。

話も聞いてもらえずにクビになったシェボンを見てこの映画を思い出した。

4. Date/ 観賞日

2022年9月 Netflixにて英語字幕で

↑「スタンリーは戦う相手を間違えている」とスタンリー役の俳優のコメントあり。

その通りで、黒人ではなく、自分を低賃金で搾取している会社や社会が相手でしょうね。

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