【映画レビュー】Elemental / マイ・エレメント(2023):「火」はアジア系移民。

ルー
ルー

こんにちは!
YMSでロンドン🇬🇧で生活しています。
How Rue C’s Itをのぞいてくださりありがとうございます!

映画館で「マイ・エレメント」を観賞!
日本の映画館には英語+字幕のディズニー映画の上映がなかなかないので、
ここぞとばかりにロンドンの映画館へ。

1. Story/ あらすじ

世界は水、木、空気、そして火のエレメントたちが住む世界。
主人公は「火」のエンバー。
彼女が決して交わってはいけないと言われる「水」ウェイドと出会い、世界が変わっていくラブストーリー。

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2. Review/ 感想

この映画の評価
おすすめ度👍
 (4)
感動する・心温まる💓
 (5)
おもしろさ😆
 (4)
ハラハラする💥
 (3)
ロマンチック💘
 (4)
風景、景色がキレイ🏞️
 (5)

ディズニーらしいオリジナリティ溢れるシティの世界観が素敵だった。
「ズートピア」が好きな人にはおすすめ!

一方で、空想の世界としてピュアな気持ちで観ることができなかったのは、ある意味大人でも考えさせられるという意味で楽しむことができる映画かな、というのが私の初見感想。

「火」はアジア系移民。

「火」はアジア系移民を彷彿とさせるポイントが多かった。

それもそのはず、この映画のピーターソーン監督は韓国系アメリカ人で、彼の両親が異国アメリカの地で移民として食料品店を経営していた自身の経験から作った物語ということが分かった。

この物語で、「火」であるエンバーの両親はより良い生活を求めて、エレメントシティに移住してきた移民
既にエレメントシティには、「水」を中心としたエレメントたちが住んでおり、エンバーの両親は自分たちの住処を見つけることに苦労した描写が描かれていた。
空き家に内見に行くも、「火」(=移民)であることから門前払いされ、ようやく見つけた住処は誰も住んでいない廃れたエリア。
自分たち「火」にはぴったりだ!とエンバーの父は閃いた様子で、あっという間に同じ「火」の仲間が近所に増えて、立派な「火」のコミュニティを作り上げることができた。
一方で、地元民に「よそ者」として簡単に受け入れられず、誰も住みたがらない場所にしか住むことができなかったという厳しい現実が描かれいた。

発音が難しい名前。

主人公「火」のエンバーの両親は、入国時に名前を答えるも、担当者が名前を聞き取ることができず、その場で適当な名を与えられる。
バーニー (Bernie)とシンダー (Cinder)。
このシーンはイングリッシュネームを持つアジア人、特に中国人を連想した。


外国人に実名をうまく発音してもらえず、間違った発音で名前を呼ばれるよりは、イングリッシュネームで呼んでもらった方が、自分のことを呼んでいることがわかるから、という話を聞いたことがある。

声優がアジア系アメリカ人。

エンバーの声優はリアルイス。
ネットフリックス映画「ハーフオブイット」の主役で、彼女は中国系アメリカ人


最近、アニメで黒人のキャラクターは黒人の声優がするべき、ということで、声優が交代した話も記憶に新しい。
このことを考えると、「火」はアジアコミュニティのイメージして作られたとピンときた。
気のせいか、エンバーの目の形がちょっとシャープだったところも気になるところだった。

それに、「火=赤」、「赤=中国」のイメージも強い。
赤い「ファイアタウン」は、まさに世界中各国に存在する「チャイナタウン」のようだと感じた。

ちなみに、エンバーの父親の声優はフィリピン系アメリカ人のロニーデルカルメン。
母親はイラン系アメリカ人のシーラオンミということで、彼女はアジア系ではなかった。

アジアっぽい最上級の挨拶と家父長制。

アンバーがインターンに行くために家を離れる際、お父さんに対して行ったあの最上級の感謝を伝えるポーズ。
地面に座り、合掌し、頭を地面につけ、まるで土下座のようだった。
馴染みのある、あのポーズを見て、やはり「火」はアジア系を意味していると確信した。
海外では、アジア人には手を合わせればいいと思ってるところが、残念ながら未だに抜けていないようだ。
(監督、韓国系アメリカ人なのにな・・・。)

加えて、お父さんが国を出る時に、「そのお父さん(エンバーの祖父)」にしたように、エンバーが「お父さん」だけに対してこのポーズをしたということ。
お母さんに対してではないところが、家父長制度が出ていて、ここはマイナスだった。
(韓国は父親には敬語を使うっていうし、監督が韓国系だからか?)

「水」のウェイドは白人?

ウェイドはどんくさくて、まんまるの目から涙を流す、優しい真面目なキャラ。
彼の母親の家は高層マンションで入り口にドアマンがいるほどのお金持ち。
なんだか映画で見たことのあるニューヨークのお金持ちの白人を彷彿とさせた。

しかしながら、ウェイドの声優は黒人のママドゥアティエで、ウェイドの母親の声優は白人だった。
このキャスティングにはあまりこだわりはなかったのか?

Toyotaの登場。

木を積んだ車が街を走るシーンが少し映ったが、なんと「Toyota」ならぬ、「Treeyota」だった。
こういう小さなディテールは面白くてディズニーならでは、と感じた。
(監督は韓国系アメリカ人だから韓国車にすればよかったのに。)

最後に。

鑑賞後に、周りにいた子供達が「どのエレメントになりたい?」と会話が聞こえた。
「火」がアジア系を指していることが明らかだと悟った自分には、そんなピュアな感想を思いつくことができず、残念だった。
「水」になりたい、と言ったら、「白人」になりたいと言っているようなもの…?
色々知りすぎた大人であることによって、観賞中、エンバーが中国系アメリカ人、ウェイドが白人にしか見えなくなってしまったことは残念だが、一方で、子供騙しの話ではないので大人も楽しめる話だと思った。

映画を観た後に感想の交換のし甲斐がありそうな映画だと思う。

3. Date/ 観賞日

2023-8-6 映画館にて

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